はじめに
さて、いよいよFP1級技能士学科です。
この試験はとにかく深い知識と 重箱の隅をつつくような 詳細な制度理解が問われます。
1級の学習では、2級の学習内容をベースに次の点を心がけましょう。
- 金融・不動産・相続などの各分野をさらに深掘りして理解すること
- 自分の興味や得意分野をしっかりと作ること(特に、これは絶対という分野があると心強い)
- 計算問題中心の応用編をいかに得点できるかどうかがカギ
- 学習も当日の試験も最後まであきらめず、時間を使い切ること
では、合格に向けたスケジュールとポイントを見ていきます。
注) FP1級学科試験を受検するには、「2級技能検定合格者で、FP業務に関し1年以上の実務経験を有する者」等の(一社)金融財政事情研究会が定める資格要件があります。(詳しくは、こちら)
合格に向けたスケジュール
さっそくですが、実際に1級学科に合格した時のスケジュールがこれです。
僕の場合、FP2級試験が終わって、FP協会のCFP認定ときんざいのFP1級技能士のどちらを目指すか、躊躇していた1カ月がありました。(詳しくは「FP1級学科合格体験記」を参照)
ということで、気がつくと1級学科までの勉強期間が3か月しかなくなっていたのです!
そこから慌てて勉強を始めたのは言うまでもありません。
で、実際に過去問を解いてみて、問題の難易度と傾向をつかもうと思ったのですが。。。
基本編の四択問題で4割も取れていない感じです。
「あ~ こりゃダメかなぁ」と思い、3か月後の試験は模擬試験のつもりで受けることに気分を切り替えました。
(結果的には一発合格となりましたが。)
学習時間の概要
スタートが遅れた上、仕事をしながらの資格取得ですので、学習時間は限られます。
基本的には、毎朝1~2時間+休みの日5~6時間で、休みの日に重点的に学習時間を確保しました。
さらに時期的に職場の夏休みが取れたので、そちらも学習に当てることで対応しました。
3級の時から引き続いて、ほぼ1年間、朝早起きする習慣がついてきたので、平日早朝の時間は効率よく使えた思います。
(今回の学習期間は、夜明けが早く、朝も涼しくなる時期だったのも良かったかも。)
1級学科を9月に受けるメリットは「落ちても同じ出題範囲で1月が受けられること」。
一方、デメリットは「テキストや問題集が出そろうのが7月頃になること」です。
(1月から受けられる方は、メリット・デメリットが逆になります。)
2022.9.4 加筆
2019年から新たに5月の試験機会が追加され、年3回の試験になりました。
ただし、テキストの改定はやはり6月~7月頃になるようなので、上記のメリット・デメリットに関しては、5月受検の方は1月受検の方と同様に考えてもらったほうが良いかと思います。
僕のスケジュールを見てもらうとわかるとおり、テキストが販売される7月前に学習を始めたため、計算問題から取り掛かっています。
実は、使ったテキスト1冊と問題集4冊のうち、問題集2冊は2年落ちのものです。
最新版のテキストと問題集が発刊されるのを待ってる間に、中古問題集の「応用編」計算問題のみを解いてました。
問題集の選び方は、後ほど改めて触れますが、使ったテキスト類は購入順に次のとおりです。
→ テキスト類のまとめは、こちら
- FP1級学科 重要過去問スピード攻略【2年落ち中古】(成美堂出版)
- FP1級学科 精選&模擬問題【2年落ち中古】(ラピュータ)
- 合格ターゲット 1級FP特訓テキスト(きんざい)
- パーフェクト FP1級学科編対策問題集(きんざい)
- 2016年9月試験をあてる TAC直前予想FP1級(TAC)
1級学科の学習時間は、概算で次の表のような感じです。
問題集の種類が多いため、A~Dで表記します。
A)重要過去問スピード攻略【2年落ち中古】(成美堂出版)
B)精選&模擬問題【2年落ち中古】(ラピュータファイナンシャルアドバイザーズ)
C)パーフェクト FP1級学科編対策問題集(きんざい)
D)2016年9月試験をあてる TAC直前予想FP1級(TAC)
取組内容 | 学習時間(内訳) |
---|---|
中古問題集A・Bの応用編(2冊) | 52時間程度 (平日 1.5時間×15日+休み 5時間×6日) |
テキスト読込・Cの基本編解答 | 54時間程度 (平日 1.5時間×16日+休み 5時間×6日) |
Cの応用編解答 | 16時間程度 (平日 1.5時間×4日+休み 5時間×2日) |
Cの基本編+応用編解答(2周目) | 21時間程度 (平日 1.5時間×4日+休み 5時間×3日) |
前2回の過去問解答と分析 | 25時間程度 (平日 1.5時間×3日+休み 5時間×4日) |
Dの予想問題 第1~第3 | 24時間程度 (平日 1.5時間×6日+休み 5時間×3日) |
前2回の過去問解答(2回目) | 8時間程度 (平日 1.5時間×1日+休み 5時間×1日) |
Dの予想問題 第1~第3(2回目) | 20時間程度 (平日 1.5時間×5日+休み 6時間×2日) |
誤答見直し(A~D全般) | 20時間程度 (平日 1.5時間×5日+休み 6時間×2日) |
合 計 | 約 240時間 |
3級や2級の時には、
『自分の仕事や家族との時間を失っては元も子もありません。
「Better Quality of Life」=良質な生活の本質は、何気ない日常にあるのですから。』
と書いていましたが、1級学科を振り返ると、(スタートが遅れたせいもありますが、)最後はバタバタですね~
学習の進め方(テキスト&問題集活用法)
3級や2級の時とは少しアプローチが変わります。
テキスト読込+問題集基本編
テキストは、きんざいの「合格ターゲット 1級FP特訓テキスト」が定番だと思います。
分量・値段ともリーズナブルですが、これだけで6分野全体の内容を網羅することはできません。
概ね得点の7~8割の内容が書いてある感じでしょうか。
僕は1分野をざっと読んで、すぐに問題集の該当分野の基本編を解き、解けなかった問題をテキストで確認しました。
問題集を解くことでテキストの内容もより頭に入ってきますし、そもそもテキストだけでは解けない問題もあるため、ネットなどで知識を補足することにもつながります。
テキストの内容は完全に教科書です。
大学受検の時の世界史をなんとなく思い出してしまいました。
ここでも単語帳が役に立ちました。
しかし、書き込むべき内容が多いため、普通の単語帳より大きなものを使いましょう。
また、このテキストには確認テストがほとんどありません。
その意味でも、各分野終了時に問題集の該当分野の基本問題を解いて対応しましょう。
中古問題集
まずは中古問題集の活用です。
僕は次の2冊を2年落ちで使いました。(手に入れば、1年落ちくらいの方が良いと思います。)
1級学科試験は、四択問題の「基本編」と記述式問題の「応用編」の2つからなります。
2級の学科試験と実技試験のような関係ですね。
このうち、「基本編」は範囲が広く、また、あまり一貫性のある出題傾向も見えないため、やってやってもゴールは見えてきません。
一方、「応用編」は頻繁に出題される定番問題も多かったので「基本編」よりは着実に得点できます。
このため、「応用編」へ軸足を置いた対策の方が効果的で、類似問題をたくさん解く意味からも中古問題集の活用は有効かと思います。
(お金がある方は、最新版を幅広くそろえたほうが制度改正の手間はかかりません。)
ただし、僕が受検した2016年9月の「応用編」は、これまであまり見たことない傾向が散見されました。
これが過去最低の合格率4.84%につながったものと思われます。
おそらく次回1月以降はオーソドックスな形に戻るのではと期待しますが、今後の受検時には過去問だけでなく、新たな制度などへの目配りが必要です。
→ 実際、その後の試験では従来のレベルに戻り、きんざいの発表では合格率も概ね10%台に戻ってきてます。 🙂
試験日 | 1級学科 合格率 |
---|---|
2022年5月 | 9.39% |
2022年1月 | 6.67% |
2021年9月 | 13.03% |
2021年5月 | 20.05% |
2021年1月 | 9.95% |
2020年9月 | 15.01% |
2020年5月 | 中止 |
2020年1月 | 11.81% |
2019年9月 | 10.14% |
2019年5月 | 11.77% |
2019年1月 | 8.45% |
2018年9月 | 8.24% |
2018年1月 | 14.52% |
2017年9月 | 10.41% |
2017年1月 | 13.98% |
2016年9月 | 4.84% |
2016年1月 | 12.37% |
2015年9月 | 15.41% |
2015年1月 | 13.09% |
最新問題集
続いて、最新問題集の活用です。
定番は試験元のきんざいが出している「パーフェクト FP1級学科編対策問題集」ですね。
テキストの姉妹本になります。
注)2017年から「1級FP技能士(学科)精選問題解説集」に書名が変更
僕は、これに加えて「2016年9月試験をあてる TAC直前予想FP1級」を購入してやってみました。
なお、この「試験をあてる」について、ネットの書評では、
「きんざいが出しているテキストや問題集以外から本番の問題が出るのはおかしい」とか
「試験を『あてる』といってるのに全然当たらないじゃないか」といった厳しい声が寄せられています。
しかし、同じきんざいといっても、試験問題を作成するセクションは秘密厳守でやるでしょうし、試験範囲がこれだけ広範だとどんな問題集でもすべて当てるのは無理でしょう。
むしろきんざいが、本番の全ての問題を掲載できるほうがコンプライアンスの観点からは問題だと思います。
ですので、これらをしっかりやって取りこぼしをしなければ、何とか6割は得点でき、合格圏内に入れると考えるべきだと思います。
過去問2回分
過去問は、それぞれの団体のホームページからダウンロードして、前年の2回分やりました。
これは反省ですが、もう少し前の分までやっておけば、本番で得点をとれただろうと思います。
学習時間との兼ね合いですが、できれば過去3年 6回分くらいやっておくとよいと思われます。
1級学科の過去問解説では、2級のときに引き続き、furiさんが運営されている「FP過去問解説」サイトにお世話になりました。
(1級の解説は、http://fp1test.ninpou.jp/)
また、問題集と過去問で間違った問題と解答をコピーして、バインダーノートに貼り付け、自分の苦手対策ノートをつくりました。
直前期は、このノートを中心に演習と見直しを繰り返します。
(2級のときも同じことをしましたが、1級は大幅に分量が増えるため、結局新しいバインダーノートを準備しました。)
次回は、「3か月でFP1級学科に合格 ~ポイント編」で、具体的なテキストや問題集の選び方なんかを実例を踏まえてご紹介します。
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