でも、損するのは嫌だから、損しないような投資先ないかな?
でも、ちょっと待って。
絶対に損しない投資って無いんだよ。
それよりもせっかくだから、「損しない」ってことについて、ちょっと考えてみようよ。
投資って胡散臭くて怖いもの?
多くの日本人にとって、初めて投資に踏み出すのってとても勇気が要ります。
「財産を全部無くしてしまいそう」「詐欺に引っかかってひどい目に遭いそう」などなど。
そして投資していることを、周りの人に話しにくい雰囲気もある気がします。
投資のことを話すと「この人ってお金に汚い人なんだ」とか「なんかうさんくさそう」って思われそうで。
残念ながら、日本では投資に対するイメージってあまり良いイメージが定着していません。
大体、小さなころから「貯金しなさい」とは言われても「投資しなさい」とは言われてきませんでしたからね~。
僕自身も40歳頃に、投資関係の勉強を始めるまでそうでした。
そして、次に思うわけです。「投資するなら絶対に損したくない」と。
国債や銀行預金なら「損しない」?
ところで「損しない」投資先って何でしょうか?
すぐに思いつくのは、銀行預金や国債の購入あたり。これらは「無リスク資産」と呼ばれるくらいですから安全度高めです。
(実際には、銀行の破たんや国の債務デフォルトという可能性もゼロではないのですが。)
預金や国債で「損しない」という場合は、「投資元本が減ることがなく、わずかな利子がもらえる」という意味で使われていると思います。
しかし、厳密な意味での「損しない」というのは、「利子分と合わせた投資額が、元本の価値を下回らない」ということです。
例えば、定期預金や国債で10年間年利0.05~0.5%といった利子が付くとします。
一方でインフレが進み、毎年1%の物価上昇が起こったとします。
すると、増えた利子分を投資元本に加えても、その価値は投資額を下回り、実質的に目減りします。
ですが、日銀は現在2%のインフレ目標を立てて金融政策を行っており、しかもそれが安定的に定着するまではお金を供給し続けると言っています。(これが「オーバーシュート型コミットメント」という政策です。)
長期金利を0%近辺に抑える政策と相まって、当面は物価の上昇を想定しておく方が国の政策と整合的になります。
話がまわりくどくなってしまいましたが、要は預金や国債でも物価の上昇(=貨幣価値の下落)を通じて損するかも知れないということです。
ですので、「損しない」資産運用は無いと考えて、どの運用方法が最もその人に適しているかを考えるべきだと思います。
彼を知り、己を知れば百戦あやうからず
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず。
彼を知らずして己を知るは一勝一負す。
彼を知らず己を知らざれば戦う毎に殆うし。」
孫子の兵法の有名な言葉ですね。
投資の世界も突き詰めると、この孫子の言葉になると思います。
「彼」とは投資する商品の内容とリスク・リターン、例えば、株・債券・金・原油などです。
「己」とは投資する原資の額とその性格、そして自分自身の性格です。
そして、
攻めとる(=積極的に大幅な儲けを目指す)のか
守る(=物価上昇分くらいの小幅な儲けを目指す)のか
その目的をはっきりさせて臨まないといけません。
※ このあたりについては、『投資の要! 「三性」って?』でも触れていますので。そちらもご覧ください。
いずれにしても『損しない投資』の本質は、許容できる不安心理や経済的な損失とのバランスであって、『自分自身が耐えられないほどの損失を回避するための投資』ということになるのでしょう。