最近耳にする機会が増えた「人生100年時代」という言葉。
政府も「人生100年時代構想」として旗を振っています。
それでは、長寿命化していく中で「良質な生活を過ごす」のに必要な要素って何でしょうか?
僕は『健康寿命・役割寿命・生活寿命』という3つのキーワードが大切だと思っています。
今回、それぞれについて思うことやその延伸に向けた取組を書いてみます。
第1の寿命『健康寿命』の延伸
2016年の寿命と健康寿命
健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」です。
ちなみに2016年では、寿命(ゼロ歳の平均余命)は男性80.98歳・女性87.14歳なのに対して、健康寿命は男性72.14歳・女性74.79歳とのこと。
その差である 男性8.84年・女性12.34年が「健康に問題が生じている期間」となります。
健康寿命の重要性
健康寿命を延伸することの意義は、次の2点に集約されると考えています。
■人的資本の活用
■社会保障コストの抑制
日本の総人口は急速な減少局面に入っており、このままでは、4,000万人台にまで減少することも懸念されています。
人口の減少は国内総生産の減少を招き、マクロ的には日本の国際競争力の低下につながることも懸念されます。
そうした中で高齢者が健康を維持し、より長く働き続けられれば、人口減少による国力低下を抑えられます。
一方で、健康でない期間を短くすることは、医療や介護など社会保障費の抑制とそれに伴う自己負担額の抑制につながります。
さらに、高齢者本人はもとより、配偶者や家族など周囲の人々を含めて、生活の質の向上も期待できるのです。
このためには、若いときから健康に留意して、きちんと健康診断を受けること、そしてストレスのない範囲で節制に取り組むことが必要です。
ちなみに、60歳代以降の体型は、40代でおおむね決定されると言われます。
僕自身も30代からダイエットに取り組み、体重を10キロ以上落とすことができました。 🙂
(健康診断記録によると、2008年:64.8㎏ → 2018年:53.8㎏)
今からでも適度な節制を始めませんか?
第2の寿命『役割寿命』の延伸
役割寿命って?
役割寿命については、僕の造語です。
ここでは、「地域や社会など他者に対して、貨幣的価値か否かを問わず、何らかの便益を提供できる期間」と考えてみてください。
仕事を通じた経済的貢献はもちろんですが、地域活動やボランティアなどでの社会的貢献、さらには赤ちゃんのように本人に何もできなくても、その存在で周囲の大人に喜びを与えるようなケースもこれに含まれます。
役割寿命の重要性
役割寿命を延伸することの意味は、次の2点に集約されると思います。
■自身の生活の充足感
■周囲との円満な関係
生きている喜びを得られ、かつ、世の中に必要とされ続けることは、何ものにも代えがたい宝物です。
社会との関係性が保たれることで、いわゆる「非常識老人」となることも回避できるのではないでしょうか。
そのために(特に会社員は退職後)自分自身がどんな分野で貢献できるのか、一度、自分自身のスキルや経験の棚卸しをしてみることをオススメします。
そこで不足しているものは、一刻も早く身につける努力をしていきましょう。
第3の寿命『生活寿命』の延伸
生活寿命≒資産寿命
最後に「生活寿命」です。これは「資産寿命」と言い換えられるかもしれません。
ここでは「生活するのに必要な最低限の収入を継続して得られる期間」と考えてください。
必要最低限の収入については、家族構成や住んでいる場所、求める生活水準によって千差万別です。
ただし地方では、ここでいう収入は単にお金だけでなく、農産物の物々交換などによるものも含まれてくるでしょう。
このため、家族を含めて自分自身が将来的にどのように生活していくのか、早めにイメージを持っておく必要があります。
自分自身がお金の知識をしっかり身につけていくことが重要ですが、より客観的かつ具体的なイメージを持つためには、ファイナンシャルプランナーへの相談も有効な手段の一つだと思います。
生活寿命の重要性
生活寿命の延伸の意義は、いわずもがなですが、以下の点に集約されます。
■老後の生活の維持
■精神的安定
これから将来世代が減少していく中で、年をとっても自分自身で生活を支えていく必要性は高まります。
また、それが経済的不安の軽減につながることで、精神衛生上も良い結果になると思われます。 🙂
そのためには、若いときから投資などを通じて資産を増やしておくこと(=将来収入の最大化)が大事なのはもちろんです。
ですが、より大きな意味を持つのが、生活水準が華美にならないよう、質素な生活を早い段階から身につけておくこと(=将来支出の最少化)だと思います。
浪費グセというのは、なかなか改善できるものではないからですね。 😉
3つの寿命延伸が未来を明るくする
これからの日本の先行きは不透明で、今何をすべきか見えにくくはありますが、今回提起した『健康寿命・役割寿命・生活寿命』の3つは、個人が生き抜いていく中でかなり普遍的な価値を持ってくると思います。
一方で、日本の高齢化は着実に進んでおり、2018年9月現在で、国内の70歳以上の人口全体に占める割合は20.7%と初めて20%を超えたとのこと。
これから今回ご紹介した3点の重要性を若いうちから認識し、暴飲暴食を控えることや資格取得などで自らのスキルを高めること、積立投資を始めることなど、小さなことから手をつけることで「良質生活の実現」につながるのではないでしょうか?
「3つの寿命」の延伸は、決して高齢者だけが考えるべきものではなく、むしろ若いうちから意識していくことが、人生100年時代を乗り切っていくためには大切なんだろうと思います。