『お金は寝かせて増やしなさい』を2巡読み完了しました。
本書は初版で入手していたのですが、ずっと仕事が忙しくて読後感想を書くまで至りませんでした。
本書の著者は、インデックス投資家で著名ブロガーである水瀬ケンイチ氏。
その15年にわたる投資歴が、率直かつ赤裸々につづられた投資初心者必読の良著です。
目次
気になったキーフレーズ
各章ごとに僕が気になった(気に入った)フレーズを抜粋してみました。
もちろん、これだけ見ても意味が通じなかったり、言葉の定義がわからなかったりすると思います。
そんな方は、ぜひ本書を手に取って読んでもらえればスッキリわかると思います。 🙂
第1章 金融のど素人でもプロと互角以上に戦える「インデックス投資」
- P.42 「アクティブファンドの70~80%はインデックスファンドに負けている」
- P.43 「アクティブファンドがインデックスに負けてしまういちばんの理由は手数料(コスト)が高いこと」
- P.51 「個人にとって低コストということは、…金融機関は低利益ということ」
- P.52 「残念ながら、銀行も証券会社もあなたの資産を増やすことよりも、自社の利益を増やすことに熱心」
第2章 寝かせて増やすインデックス投資の実践法
- P.56 「投資を始める前にやっておきたいこと…家計の状態を把握すること」「次に必要なことは生活防衛資金を貯めること」
- P.58 「生活費の2年分を銀行預金など流動性の高い金融商品で確保すること」
- P.59 「世の中でなにが起きようが、会社が倒産しようが、クビになろうが、絶対に自分と家族の生活を守るという一点をベースにして、投資戦略を考えるべき」
- P.62 「生活防衛資金は、…心の安定も守ってくれるという副次的効果」「むしろ…副次的効果の方が生活防衛資金の主目的」
- P.64 「リスク許容度とは…資産運用で発生する損失を1年間でどの程度受け入れられるかの度合い」
- P.65 「リスク許容度は…最終的には自分で考えることになる」
- P.70 「リスクを避ける(もしくは、できるだけ小さくする)ためには、分散投資で銘柄分散することが有効」
- P.72 「リスクとは、損するマイナスの可能性であると同時に、得をするプラスの可能性でもある」
- P.74 「過去のある一定期間の実績リターンを、そのまま期待リターンにあてはめるのは不適切」
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- P.79 「銘柄選択や投資タイミングではなく、資産配分によって投資成果がほぼ決まってしまう」
- P.82 「自分のリスク許容度=耐えられる最大損失額を…把握し、その範囲に収まるように資産配分をつくる」「リターンから決めるとどうしてもリスクの理解が手薄になりがち」
- P.83 「リターンではなく、リスクから資産配分を決める」
- P.91 「投資が趣味でも仕事でもない普通の個人投資家にとっては、株式クラスの中身を細かく検討することよりも、国内債券をどの程度組み込むか…の方が、実は、はるかに影響が大きい」
- P.92 「値動きの違う資産クラスを組み合わせることで、期待リターンをあまり減らさずに、リスクをより大きく低減できる」
- P.99 「生活防衛資金が2年分貯まる前に、平行してインデックス投資を始めたいという場合は、…リスク許容度は、通常時の半分くらいしかないと仮定」
- P.112 「リバランスとは、運用していくなかで崩れてきた資産配分(アセットアロケーション)を所定の比率に戻す作業」「資産配分が崩れたままだと、知らないうちに過剰なリスクを取ってしまう恐れ」
第4章 始めるのはカンタンだけど続けるのは意外と難しい
- P.150 「大暴落に遭ってしまったとき、目の前で自分の資産がどんどん溶けて目減りしていくのを見ながら、はたしてあなたは積み立てを続けられますか?」
- P.151 「インデックス投資の本質部分が腹に落ちていないと、人は少しの損失であわてふためき、怖くなってすぐに売却してしまい、結局はインデックス投資を継続できなくなってしまう」
- P.160 「長期的な株式投資は、目先の小さな損益にはあまり意味はなく、長い運用期間の後半にこそ、複利の力が効いてくる」
- P.166 「過去の株価の圧倒的な右肩上がりは、資本主義経済の拡大再生産によるものであり、そのエンジンが人々の「豊かになりたい」という…欲望であることが、今後も拡大再生産が続いていく根拠であり、インデックス投資のよりどころである」
- P.167 「短期ではなく長期で、できるだけ長く市場にとどまり続けることが必要」
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- P.169 「インデックス投資を始めるのに、遅いも早いもありません。なぜなら、投資タイミングを見計らって買ったり売ったりする必要がないからです。」「インデクスファンドの取得価格は、「今後数十年かけてつくっていくもの」である」
- P.170 「積み立て始めてからは、株価が下がってくれた方が、安く仕込めて(取得価格を下げられて)うれしいと感じるようになる」
- P.172 「積み立て投資を続けることができれば、暴落中、暴落後は「絶好の買い場」となり得ます」
- P.173 「ポートフォリオのリスクが自分のリスク許容度の範囲内に収まっているかの確認は、株価が好調なときにこそ行うべき」「暴落してから行うのでは遅い」
- P.174 「おすすめなのは、株価がググッと上がったときに、プラスとマイナスを入れ替えて、同じだけ下がったら耐えられるかと自問自答すること」
第6章 貴重情報!インデックス投資の終わらせ方
- P.248 「投資家がコントロールできるのは、コストと…ざっくりとしたリスクまでで、将来のリターンはコントロールできない」
- P.249 「出口戦略としては、ポートフォリオの債券比率を高めて(=株式比率を減らして)保守的な資産配分に変更」
- P.250 「人生の後半になればなるほど、損失に対する許容度が下がってきます」「であれば、加齢とともにポートフォリオの資産配分も、リスク許容度の低下とあわせて保守的に変更していけばよい」
- P.252 「リアローケションは相場状況に関係なく定期的に行うべきという点」「特に、下げ相場で損失を被ってからリアローケションをするという癖をつけないこと」
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- P.254 「まず大前提は、所定の資産配分比率を崩さないように取り崩すことです。つまり、ポートフォリオ全体と同じ資産配分で、インデックスファンドなどを売却するのです」「そして、取り崩す金額についてです。これは「定額」ではなく「定率」で取り崩すべきです」
- P.255 「ポートフォリオの期待リターンからインフレ率を引いた数字が年間の取り崩し比率となります。」
- P.257 「積み立てるときは定額、取り崩すときは定率」
- P.258 「難しく考えず、…必要なときに必要な分だけ運用資産を取り崩して、残りは引き続き運用し続ける。」
でも、僕にとって一番興味深かったのは…
実は、僕が一番興味深かったのは、『第5章 涙と苦労のインデックス投資家15年実践記』でした。
これは、ぜひ本書を手にとってご覧になってください。
すでに投資している方は、きっとドキドキする気持ちを追体験できるでしょうし、これから投資を考えている方には、投資の怖さと面白さを一度に味わえると思います。
株にはジワジワ上がってドスンと落ちる特性があるので、これからも大きな暴落は必ずあるでしょう。
そのときに慌てずチャンスと思えるよう、さらに、次に上昇するための準備期間だと前向きにとらえられるよう、心の準備運動として、本書は投資、特にインデックス投資に興味がある方には是非オススメしたい良著です。
個人的には、第5章に掲載されているグラフを時系列で『パラパラマンガ』にして、どの時点(=何ページ)まで投資を止めずにいられるかを確認できるようにしても面白いのかなぁと思ったりしました。 😉