公式はシンプルに覚えるべし
4・5のポイントとも関連しますが、「応用編」に力を入れるということは、各種の公式を覚えなくてはいけません。
特に「金融資産運用」や「相続・事業承継」は、公式が多かったり複雑だったり。
文系だった僕には骨の折れるものでした。
ですが、公式を一つ一つまるごと暗記するのではなく、類似の内容や関連する項目で覚えていくという方法もあります。
(一例として、ROAとROEの関連性から覚える方法を例示します。)
ROA の2指標分解と ROE の3指標分解
ROAは「Return On Assets」の頭文字なので、R/Aとなる。
2指標分解ということは、R/□ *□/Aであるはず。
だから分母と分子に同じ要素が入る。
この場合、□=売上(Sale)と覚える。
ROA
=R/S *S/A
=売上高純利益率*総資本(資産)回転率 に分解される。
さらに、ROEも同様に「Return On Equity」の頭文字なので、R/Eとなる。
3指標分解ということは、R/□ *□/■*■/E となる。
はじめの2指標 R/□ *□/■は、ROAの公式に一致。
自動的に、□=売上(Sale)、■=使用総資本(資産)(Asset)となる。
ROE
=R/S *S/A*A/E
=売上高純利益率*総資本(資産)回転率*財務レバレッジ に分解される。
このほか、
〇シャープレシオ・トレイナーレシオ・インフォメーションレシオをまとめて覚える方法
〇ジェンセンのαで使うCAPMの収益率を簡単に覚える方法
〇老齢基礎年金と老齢厚生年金を共通項目でまとめて整理する方法
〇類似業種比準方式と純資産価額方式と配当還元方式を共通項目でまとめて整理する方法
など、よくよく見ると同じようなことをやっているケースも多いんです。
記憶力が抜群の人は別として、公式は「他に使いまわしできる要素がないか」、「シンプルに覚えられないか」といった視点で見直してみましょう。
最新の改正や新聞での話題はチェックすべし
1級学科試験では、範囲が非常に広いくせに最新の改正事項の知識もバンバン試されます。(当たり前か。)
前の方でも取り上げましたが、「試験をあてる」シリーズの「リアルタイム法改正情報」が役に立ちました。
ただし、重要度A~Cというのは、あまり当てにしないほうが良いです。
(試験に出題されたのもBの項目でした。)
また、新聞などに目を通すときに、解説記事に取り上げられるようなネタは、「もしかしたら1級学科の問題になるんじゃないか」という視点で見ていきましょう。
(僕はあまり実践できなかったのですが)
例えば、2016年9月の応用編の問62で取り上げられていた「空き家に係る譲渡所得の特別控除」「相続税の取得費加算の特例」。
これらは新聞で取り上げられていましたし、国土交通省のホームページにはとてもわかりやすい解説が載っていたりしました。
(僕も試験が終わってから気がつきました。 😛 )
生活の中でアンテナを高くして、疑問を持ったらちゃんと調べる。
こんなところから合格への第一歩が始まるんですね。
本番では最後まであきらめず、試験時間を使い切るべし
「基本編」は四択で午後からの試験もあるので、十分に見直したら多少早めに切り上げても良いと思います。
しかし、「応用編」では記述部分を中心に時間をかけて粘ったほうが良い結果につながります。
実際、僕の場合も記述部分で完全に正答できたものは少なかった(7問中1~2問)ので、部分点で相当救われているはずです。
部分点があるということは、「9割 間違ったことを書いても、1割 正しいところがあれば加点される」ということです。
解答を構成する要素の一部がわからなくても、わかっているところを最大限アピールすることが重要になります。
実例をご紹介します。以下は、2016年9月の応用編 問55です。(詳細はきんざいHPを確認ください。)
ただし、変動費は売上原価に等しく、固定費は販売費及び一般管理費に等しいものとする。
解答の手順としては、設問から、①変動費=売上原価=売上高-売上総利益②固定費=販売費及び一般管理費=売上総利益-営業利益③損益分岐点比率=損益分岐点売上高/売上高*100%また、損益分岐点売上高=固定費/{(売上高-変動費)/売上高} となります。
この場合、③の公式がわかっていても、①と②の公式がわからなければ答えまでたどり着けません。
(僕がそうでした。)
そこで、記述式の利点を生かし、解答の冒頭に
『損益分岐点比率は、損益分岐点売上高/売上高*100%
=固定費/{(売上高-変動費)/売上高}/売上高*100%となる。』
とだけ書いておけば、「この人は損益分岐点比率は理解していたんだな」と部分点がもらえる可能性があります。
①②がわからなくて潔くあきらめた人には、1点も入らないことになり、大変もったいないです。
1級学科合格のためには、1点ずつの積み重ねです。
皆さんが採点者の立場で答案を見たときに、「この人はここまでは分かっていたんだな~」と思えるような答案づくりを心がけましょう。
1級学科を受検される皆さんへのメッセージ
以上、1級学科試験について(偉そうに)いろいろと書いてきましたが、僕はもう一度受検して合格できる自信はほとんどありません(キッパリ)!
それだけ広範な分野を深く勉強しないといけませんし、出題される問題がどんなものになるか、めぐり合わせにも左右されます。(多分に運の要素が大きいと思います。)
だから、僕のように「どうせ運に左右させるんだから、何回でも受検する気持ちで受けてみよう」と開き直ることも大切なのではないでしょうか。
大変な試験に果敢に挑戦される皆さんの姿勢こそが、何より素晴らしいのです。
さあ、あと一息です。
どうか、最後まであきらめず全力を尽くしていただきたいと思います。
皆さんの合格を心よりお祈りしています!
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