ホンダが「自立するバイクの実験車を開発した」とのニュースが報じられました。
ライダーにとって安心して運転できる期待とともに、安全面から若干の懸念も残ります。
ホンダの自立するバイク「Honda Riding Assist」を動画で紹介 【1月7日 Car Watch】
本田技研工業は、米ラスベガスで開催の「CES2017」において、ライダーが乗っていても、乗っていなくても自立する2輪車の実験車「Honda Riding Assist」のデモンストレーションを公開している。
Honda Riding Assistは、ASIMOに代表されるヒューマノイドロボット研究で培ったホンダ独自のバランス制御技術を2輪車に応用。ライダーが少しバランスを崩しても、バイク自体がバランスを保つことで、低速走行時や停止時のふらつき、取り回しの際の転倒リスクを軽減するという。一方で、通常の走行時には、既存の2輪車と同等の操縦性を実現。ツーリングやバイクのある日常をより楽しいものにする提案。
デモンストレーションでは、車両単独で自立して移動するようすを示すとともに、ライダーが乗車してもバランスをとり続けているようすを示した。
※実際の走行の様子は、動画の6分30秒くらいから始まります。
〇もう立ちゴケなんてしない?
僕は20年以上前の学生時代に400ccのバイクに乗っていました。
当時、お金があったわけではないので、バイトをして中古で購入したものです。
夏の暑さや冬の寒さ、特に雪が降ったときの怖さとともに、風をきる感覚や独特の加速感はいまでも鮮明に覚えています。
バイクと言えば一番悲しいのが「立ちゴケ」。
バイクを押したり、停車しているときに、バランスを崩して倒れてしまうことです。
ハンドルやペダル周りに傷がつくぐらいで済めばよいのですが、タンクが凹んだりすると、乗るたびに目に入りブルーな気持ちになりました。(もちろん修理費もたっぷりかかります。)
今回の「Honda Riding Assist」では、低速時や停車時にもバイク自体がバランスをとっている様子がわかります。
(少なくとも電源を入れていれば)「立ちゴケ」は免れそうです。
僕のように若いころバイクを楽しんだオジサン達の中には、年を重ねて再び大き目のバイクを購入する人も増えてきているようです。
体力が落ち、バイクを支えるのが困難になってくると、今回の技術は高齢ライダーにとって福音になるかもしれません。
昔の「あぶない刑事」の舘ひろしのように、『手放しでバイクを運転』なんていうのも可能になるかもしれませんね。 😛
(おやじネタですみません。)
〇手放しで喜んでいいのか?
さて、いいことづくめに見える「Honda Riding Assist」ですが、安全面でいくつか気になるところがあります。
モーター制御でバランスをとると、バッテリーの消耗が早まる?
「Honda Riding Assist」は、元々バランスの悪いバイクを前輪のモーターで制御するようです。
これには、モーターの制御系・駆動系両方で電気を消費することになります。
で、バッテリーが上がってしまうと、セルモーターがかからなくなってしまいます。
こうなるとバイクを押してエンジンを回し、クラッチをつなぐ「押しがけ」となりますが、これって難しいんですよね。
うまくいかないと転んでしまいます。
この「Honda Riding Assist」も、結局、電気がないと転んじゃうんでしょうね。
転びたくても自立走行してしまう?
高度にバランス制御されているため転ばないのですが、実はこれが一番危険だと思っています。
というのも、大きなバイクでどうしても危険を避けられないときは、自らバイクを倒しこんで横滑りに転ぶときがあるからです。
実際、僕がバイクで交差点を直進しようとしたときに、右折しようとしてきたトラックに接触しそうになったことがありました。
その時は、バイクを倒しこんで間一髪正面衝突を避けることができました。(バイクはトラックの下に挟まってボロボロになりましたが。)
このようなときでも、転ばない「Honda Riding Assist」は、自ら体勢を立て直そうとして真っすぐにトラックに突っ込んでいくか、思わぬ方向(最悪の場合、歩行者がいる方向)に自立走行していく恐れがあるのです。
もちろん停止状態でもまっすぐバランスをとれるので、従来のバイクと違って急ブレーキをかけても問題なく急停止できるのかもしれませんが。(従来のバイクでは、ブレーキロックによる転倒となってしまいます。)
〇まとめ
以上、「Honda Riding Assist」について色々と妄想を含めて書いてきました。
まだ実験機段階なので色々な課題はあり、これからその克服もされていくと思います。
何より「バイクは安定して停止できない」という従来の常識を、ASIMOの技術研究を生かして、イノベーティブに克服したことは素晴らしいと思います。
日本のモノづくりの未来には、まだまだ発展できるという期待が持てる、新年の明るい話題になりました。
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