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相続ルール大改正①~自筆証書遺言の方式緩和

2018年(平成30年)7月に 「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」と「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が成立しました。

これによって「相続法制の見直し」「法務局で遺言書を保管するサービス」 が新たに行われることになります。

今回から、その改正内容と影響などについて考察してみたいと思います。

第1回は自筆証書遺言の方式緩和です。

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改正のポイント

はじめに今回の改正のポイントをまとめました。 

【改正のポイント】

  • 自筆証書遺言の「相続財産の目録」については、パソコンで作成した文書や通帳のコピーが認められる。
  • ただし、自書以外が認められるのは「相続財産の目録」のみ。他の書類は引き続き自書が必要。
  • 遺言者は「目録」一枚ごとに署名・押印が必要
    (自書以外の目録が両面である場合は、その両面に必要)

自筆証書遺言とは?

遺言の3つの種類

まず遺言について、復習を兼ねて確認です。

遺言は、生前に自分の意思を示しておくことですが、民法第960条で「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。」とされています。

民法では、普通の方式による遺言の種類として次の3つの種類の遺言を規定しています。

  1. 自筆証書遺言(民法968条)
  2. 公正証書遺言(同 969条)
  3. 秘密証書遺言(同 970条)

改正前の3つの遺言の特徴・違いを整理すると、次のとおりとなります。

種類

自筆証書遺言

公正証書遺言

秘密証書遺言

作成方法遺言者が遺言の全文・日付・氏名を自書・押印する。遺言者が口述し、公証人が筆記する。遺言者が遺言書に署名・押印し、封印する。公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載する。
証人不要2人以上2人以上
検認必要不要必要

今回の改正は、このうち「遺言の全文」を「自書」しなければならない点を緩和するものになります。

自筆証書遺言の改正内容

では、具体的にどのように緩和されるのか。

民法の該当条項を確認しながら具体的内容を見ていきます。

まず、改正前の自筆証書遺言の条文は次のとおりです。

民法第968条 

1 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

e-Gov法令検索より

これが改正され、次のとおりとなります。

改正後 民法第968条

1 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

e-Gov法令検索より 

改正前後を比べていただくと、968条第2項が大きく変わっていることに気がつかれると思います。

改正後の自筆証書遺言を先ほどの例によって整理すると、次のとおりとなります。

種類

自筆証書遺言

作成方法

遺言者が遺言の全文・日付・氏名を自書・押印する。
ただし、相続財産の目録について、要件を満たせば自書でなくてもよい。

証人不要
検認必要

なぜ改正の必要が?

遺言については民法の適用があり、要件が厳格に定められています。

特に自筆証書遺言は、その名のとおりすべて「自筆(自書)」で作成しなければならなかったため、正直言って改正前は個人が取り組むにはハードルが高いものでした。

こうした中で、今回「相続財産の目録」のみではありますが、「自書を要しない」とされたことで、パソコンでの目録作成や通帳等のコピーなどをそのまま活用できるようになったのです。

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さらに遺言を公的機関に預けるには、従来「公正証書遺言(民法969条)」による公証役場での保管しかありませんでした。

しかし同時に改正された「法務局における自筆証書遺言の保管制度」の創設によって、自筆証書遺言を法務局に保管してもらえるようになります。
(ただし、施行日は2020年7月10日になります。)

自筆証書遺言は、他の遺言形式にあるような「2人以上の証人」が不要ですので、その普及を図っていきたいとの法務省の意気込みが感じられます。

おまけ FP試験での想定問題

今回の「自筆証書遺言の方式緩和」の施行日は2019年1月13日施行となっています。

このため、ファイナンシャル・プランニング技能検定の法令基準日から考えると、2019年9月試験から出題される可能性が高いと思われます。

なお、きんざいの1級実技試験については、原則として試験日現在施行の法令等に基づくことになっていますのでご注意ください。

正誤(〇×)問題で出題される場合のパターンを考えてみました。
(あくまで僕の予想です。回答についても責任を負うものではありません。)

【難易度 ★】

① 2019年2月以降の自筆証書遺言では、所定の要件を満たせば自筆によらずパソコン等で作成・印刷した相続財産の目録も有効である。

② 2019年2月以降の自筆証書遺言においても、その全文、日付及び氏名を自書し、これに押印していなければ無効である。

【難易度 ★★】

③ 2019年2月以降の自筆証書遺言では、書類ごとに署名押印がなされていれば、すべての書類を自筆によらずパソコン等で作成できる。

④ 2019年2月以降の自筆証書遺言で、パソコン等で作成した財産目録が複数枚にわたる場合には、それぞれの目録に署名押印が必要である。

【難易度 ★★★】

⑤ 2019年2月以降の自筆証書遺言では、パソコン等で作成した財産目録が両面にわたる場合でも、目録の末尾に署名押印があれば有効である。

⑥ 2019年2月以降の自筆証書遺言では、相続財産の目録は自筆によらなくても有効な場合があるが、この場合には証人2人以上が必要になる。

回答はこちら。

① 〇

② × 

③ × 「本文」は自筆でなければならない。

④ 〇

⑤ × 両面にわたる場合「両面」に署名押印が必要。

⑥ × 自筆証書遺言には証人は不要。

最後の予想問題はあくまで参考までです。

外れても悪しからずご容赦くださいね。

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