前回 「絶対損しない投資」ってありますか?」の中で、初めての投資で大切なのは、
②投資する原資の額とその性質
③自分自身の性格
と書きました。
そして、
積極的に大幅な儲けを目指すのか
物価上昇分くらいの小幅な儲けを目指すのか
その目的をはっきりさせて臨むべきと。
今回は、これをもう少し詳しく見ていきます。
資産運用で大切な「三性」
最終的な資産形成のためには、運用途中で撤退しないことが一番大切です。
もちろん短期的に儲かって、その利益が自分の運用目標を達成したことで撤退する場合は別です。
しかし現実には、資産価値が目減りして、あるいは投資額と同等に値を戻したところで撤退するケースが圧倒的に多いのです。
株にしろ、債券にしろ、投資商品というのはどれでも浮き沈み(=投資商品の価格の上昇・下落)があります。
この浮き沈みに耐え切れず、運用途中で撤退してしまうと、長期的に期待される利益が得られません。
このため、投資を始めるにあたって、また、運用の途中でも、次の「三性」をよく考える必要があります。
①投資する商品の「特性」
②投資に充てるお金の「性質」
③自分の「性格」
投資商品の「特性」
投資しようとする商品の「特性」というと、個別株・国債・外国株・金・原油など、投資の種類に目が行きがちです。
しかし、それよりも重要なのは、投資する商品のリスク・リターンを知ること、そして複数の商品クラスに分散投資することです。
その意味で、初めての投資の際には、複数商品を一つにまとめたインデックス型の投資信託やETF(上場投資信託)がおススメです。
例えば、「ニッセイ日経225インデックスファンド」であれば、よくニュースで流れる”日経平均株価”に概ね連動します。
上場企業の1社が倒産しても価値がゼロになることはありません。
また、リスクとリターンについても、証券会社のサイトなどで複数の商品が簡単に比較できます。
さらに、資産クラスの「分散」にも取り組みましょう。
インデックス型の株式であれば「日本株・先進国株・新興国株」、同じく債券であれば「国内債券・先進国債券」などがあり、これらを複数組み合わせることがリスクを分散する手段となりえます。
(新興国債券もありますが、流動性と為替の問題があり、個人的にはあまりおススメはできません。)
投資に充てるお金の「性質」
次に、投資に充てるお金です。
投資は、生活に必要なお金(半年分の生活費)+若干の余裕金(4か月~半年分の生活費)を確保した上で、残りの余裕金で行うべきです。
例えば、全財産を投資にかけたり、極端な例として、借金したお金で投資するというのは、絶対におススメできません。
極端な上昇相場ではうまくいくかもしれませんが、失敗すると生活に支障を来してしまいます。
これらは、投資というより投機に近いものだと考えます。
いわば、ギャンブルです。
生活に必要な資金と、ある程度の不測の事態にも耐えられる資金を確保して、残った余裕金を投資に回すこと。
これが、不本意な一発退場をくらわない方法です。
そして出来れば、投資時間の「分散」も心がけたいところです。
これは投資の時期をずらすこと、理想的には若いうちから無理のない範囲でコツコツと投資をし続けることです。
ですので、退職金をすべて投資に回すのは、余裕資金か、時間の分散が効いているかの両面から、二重に注意が必要です。
また、投資信託商品による長期投資に取り組む際には、同様の商品の中で次の点を確認ください。
・管理費用(信託報酬)の率は高くないか →長期投資ではココが最重要!
・信託財産留保額(=売却に伴い支払う費用)は低くなっているか
投資するときに儲かることは誰もが容易に想像しますが、資産価格に関しては儲ける額と同程度の額を損する可能性もあり、生活に支障が出ないかどうかを検証することが大切になります。
自分の「性格」
最後に、投資する自分自身の性格です。
説明してきた ①投資商品の特性や ②投資資金の性質については、客観的な数字によって把握し、想定することができます。
しかし、投資によって儲けが出たり、損が出たりした時に、いったい自分がどう反応するのか、想定することは難しいです。
周りに流されず我が道を進める人、逆に敏感に反応してしまいすぐ行動に移してしまう人など、人によってその心持ちは様々です。
あるいは、普段は泰然自若としていても、お金が絡むと急に不安に襲われる方もいるかもしれません。
このため、投資する商品ごとにルールを決めて、感情ではなく理性的(機械的)に運用していくことが大切です。
投資信託やETFでの運用を中心にする方
投資信託やETFでの運用を中心にする方は、1年に1度でも良いので、自分の資産構成(ポートフォリオ)を決めて、それを維持することを心がけましょう。
具体的なケースで見ていきます。
- 投資にあたり「日本株投信25%:先進国株投信25%:国内債券投信50%」で資産構成の目標を立てた。
- その後、株式が値上がり・債券が値下がりして、時価評価額で「日本株投信35%:先進国株投信30%:国内債券投信35%」になった
- この場合、日本株投信と先進国株投信を売って、国内債券投信を買う。
これを「ポートフォリオ・リバランス」といいます。
さらに、投資資金に余裕があれば、元の目標に戻すために足りない投信(この場合、先進国株投信と国内債券投信)を買い増します。
資産を売らずに、リバランスするので「ノーセル・リバランス」といいます。
こうすることで、感情に左右されず、機械的に対応することができます。
個別株式での運用を中心にする方
個別株の運用中心の方は、投資信託と違って、単位株(最低売買単位の株数)があり、リスク・リターンの把握も個々の企業の業績等に左右されるため、細かい調整や把握が難しいです。
このため、株を購入する際に、下がったら売る値段(=損切り)と、上がったら売る値段(=利確売り)を決めて、メモしておくことをおススメします。
目安としては、気が長い人なら「損切りは▲20%・利確売りは30%」あたりでしょうか。
制限価格に引っかからなければ、それぞれの金額を指値で入れておくと、これも機械的に処理されます。
まとめ
以上、投資の「三性」について色々と書いてきました。
実は、僕自身もまだこの「三性」について実践できているとは言えません。
その意味で、自戒をこめた投稿になっています。 😉
資産運用で大切な「三性」
①投資商品の「特性」
これは、投資する商品からどのくらいのリターンとリスクが見込まれるか、また、その商品に投資し続けるコストはどのくらいになるのかを知るということ。
②投資に充てるお金の「性質」
これは、そのお金が現在及び将来の自分(家族)の生活にとってどのくらいの意味を持ち、どのくらいの損失まで耐えられるのかを考えるということ。
③自分の「性格」
これは、評価額が増えたり減ったりする投資に対して、短期的に結果を求める性格か、それとも長期的に構えられる性格かを見極めるということ。ただ、なかなか難しいので、ルールをしっかり決めて、それに沿って理性的に行動すること。
①と②は、様々な投資にまつわる書籍やサイト、ファイナンシャルプランナーからの助言などを通じて、客観的に把握できます。
しかし、③については、自分自身がお金にどう向き合ってきたのか、あるいは、これからどう向き合っていくのかをじっくり考えなければなりません。
その意味で最も助言が得られにくく、投資におけるつまづきの最大の要因になりうると考えています。
僕が一年に一回 「インベストメント・ポリシー」を作成して、その年の投資計画を立てるのも、結局「それで自分が決心したんだから」と納得するための自己修練の儀式なのかもしれません。
それでも、ファイナンシャルプランナーなど他人に相談することで、自分も意識していなかった「気づき」が生まれるかもしれません。
是非それらも有効活用してみてください。
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